ザッキニッキ

誰かに役立つときが来るかもしれないし、来ないかもしれない雑記

薬師如来は信じざるを得ない話

f:id:o0w0b:20220120005543j:plain

京都を愛してもう十何年になるでしょうか。

 

東京に住んでいるのですが、京都が好きすぎて同志の友人と毎年のように
多いときは年二回ほど京都旅行をしていました。
(さすがにコロナ流行時は自粛しました)

 

「京都~大原三千院~」っていう歌があるじゃないですか。
京都すごい行っているのに「三千院」行ったことないなあ、と思ったわけです。

 

しかも、旅行のタイミングのときちょうど
「初午大根炊き」(大根の煮物の振る舞い)の催しがあるとのこと。

 

もう有名な観光地、寺社は結構行き尽くしているので、
行ったことのないところに行ってみようということで
毎年購入しているバス1日乗車券を購入し…

 

まずは食べたかった抹茶館の抹茶ティラミスの行列に並んで、
散々おいしいティラミスを頬張ったあと
市バスでたしか…四条河原町あたりから乗車しました。

 

そしたら、三半規管の弱い私はなんと乗車15分の出町柳駅あたりから
胃がむかむかしてしまったんです。乗り物酔い止め飲んでいたのに。

 

その日はなんだか、やたらバスが段差でハネるなあと思ったんですけど
それが原因か、寝不足だったか、とにかく早い段階でウッ…って感じでした。

 

でも、三千院って山奥なんですよね。出町柳って思いっきり市内の都会のほうです。
どう考えても遠いんですよ。序盤も序盤で酔ってるんです。詰みですよね。

 

それからは地獄でした。あの独特の、車酔いした人の顔をしていました。

頑張って寝ようにも結構揺れるし、気持ち悪くて眠れない。

 

すると、ふだん車酔いしない友人が「酔い止め持ってないか」
と話しかけてきたんです。
二人ともがっつり車酔いしてしまったんですね。

 

しかし、バスの乗車時間を見てみると合計49分です。死苦…

 

八瀬駅前、八瀬甲ケ渕、八瀬甲賀小路…
果てしなく、「八瀬」と名前についた停留所が続きます。
しかも、山のほうなのに結構人が乗降している。

 

このときばかりは「やめろッ…人なぞ置いて…いち早く終点へ向かえッ!」
と思ってしまいました。ごめんね。

 

人間としての尊厳を守りたい。

 

ビニール袋は持っていたけど、さすがに人前でリバースしたくない。
しかも、嘔吐恐怖症なのでそもそも絶対リバースしたくない。

 

一度バスを降りることも考えましたが、こんな山奥いつ次のバスが来るか。
降りたところでまた山道を登り続けなくてはならないのだ…と思うと
なかなか降りる決断ができませんでした。

 

友人も「あとどのくらい…?」私はスマホを確認する。
スマホを確認するとこみ上げて来る。

 

「に、じゅっぷん…」
「う、そだろ…?」
「いや、きっと、すぐだよ…」

それは自分に言い聞かせるために言った言葉でもあった。

 

唇の痙攣が止まらない。ふだんしない貧乏ゆすりが止まらない。
両手の「乗り物酔いのツボ」を爪が食い込むほど刺激しても効きません。

 

そしてやっと、三千院の最寄り駅である「大原」に到着しました。


「大原に到着しました。停車位置に移動するためバックします」


位置を直すため何度か切り替えしてバックしていました。

 

このバックがもう、傷口にブートジョロキアを塗り込む行為でした。
ブートジョロキアはギネス世界一の辛い唐辛子です一応。

 

「次バックし直したら◯す!!!!!??」とまで思ってしまいました。ごめんね。

 

やっと停車し、バスのドアが開くと、私は道路に倒れ込み、もう
嘔吐恐怖症?知らん!という気持ちになり、
ティラミスをリバースしようとするもなぜか出ず、
喉と唇の痙攣と、口いっぱい広がる塩気だけがしばらく続きました。

 

友人もよたよたと降りてきて、なんとか事なきを得たようでした。
私が光の速さで下車したので見失っていようです。

 

そこから三千院徒歩7分
冬で山の空気はひんやり澄んでいて少し楽でしたが、吐き気は微妙に続きました。

 

しかし、いざ三千院の門をくぐった瞬間、吐き気がスーッと離れていったんです。
友人も同様に「え?なんか胃が楽になった」と言いました。

 

不思議だなあと思っていたら、なんと三千院のご本尊は薬師如来
薬師如来は健康を司る、いわばお医者さまの仏さまなわけです。

 

正直なところ、私と友人は京都と寺社の非日常の雰囲気が好きで巡っていて、
訪問したらご挨拶のつもりでお参りしているだけで、
特定の宗教、宗派を強く信仰するとか、特別信心深いとかでは、あまりないです。

 

しかし、この状況。「えっ、薬師如来のご利益ってガチ…?」
二人とも異口同音に言ってしまい失礼ながら御前で爆笑しました。

 

それ以来、薬師如来は信じざるを得ないなあと思うようになった
という話でした。。(〆が雑すぎる)

 

そのあと、寒空の下で食べた大根がほかほかで染みていて、
あまりにもおいしく感ぜられ、
「吐き気がないって…幸せだな…」と言い合いました。めでたし。